ニュース記者の主張?原子力発電 首相は再稼働を命じよ 電力不足は経済の活力を奪う

あなたは下の文章を読んで動行った感想をもつだろうか。少し考えてみてほしい。


いま日本は、エネルギー政策の根幹が揺らぎかねない国家レベルの危機に陥っている。

東京電力福島第1原子力発電所の事故に加え、菅直人首相の唐突すぎる要請によって中部電力浜岡原子力発電所が運転停止を余儀なくされ、原発がある地元の動揺が収まらないためだ。

不安感を背景に、運転上の安全を確保する定期検査が終わっても再稼働への地元の同意が得られず、停止したままの原発が増える状況になりかねない。

 ◆何のための安全確認か

先進国の生活水準を維持するにはエネルギーがいる。その安定供給に果たす原子力発電の位置付けと安全性について、国による国民への十分な説明が必要だ。菅政権が漫然と手をこまねいていれば、大規模停電が心配されるだけでなく、国民は慢性的な電力不足を強いられかねない。国際的な産業競争力の喪失にもつながる。

浜岡原発の停止要請を、菅首相は「政治主導」と表現した。であるなら、定期検査を終了した原発の速やかな再稼働についても国の責任で推進することを決断し、実現させるべきだ。

原発は13カ月運転すると、必ず部品交換や整備などのため原子炉を止め約3カ月間、定期検査を行う。検査終了後に運転を再開しなければ、来夏までに国内すべての原発が止まることになる。

すでにその兆候は見えている。関西電力九州電力などの一部の号機が、本来なら可能なはずの運転再開に至っていないのだ。

福島事故を踏まえて、各電力会社は津波などへの緊急安全対策を国から求められたが、それが遅れの主因ではない。「地元の同意」が得にくいためである。

事故などで停止した原発は、経済産業省原子力安全・保安院が安全性の回復を検査するが、保安院のお墨付きだけでは、電力会社は運転再開に進めない。発電所が立地する地元市町村と県の同意が求められるのだ。

だが、原子炉起動に地元の同意を必要とする法律はない。電力会社と地元の間で結ばれている「安全協定」は、一種の紳士協定なのだ。国は自民党政権時代から、この安全協定に基づく地元の関与を容認してきた。

しかし、現在は日本のエネルギーの供給に「黄信号」がともっている。菅首相海江田万里経済産業相は自ら各原発の地元に足を運び、原子力による電力の必要性についても説明に意を尽くさなければならない。

何しろ、大津波によって国内54基の原発中、15基の原発が壊れたり止まったりしている。東電柏崎刈羽原発の3基も新潟県中越沖地震以来、停止している。浜岡原発の3基も止まる。

これに加え、地元の同意が得られずに再稼働が遅れ続けるとどうなるか。菅首相らは事態を深刻に受け止めるべきだ。

 ◆「脱原発」に流されるな

菅首相は10日、今後約20年間で原子力発電の割合を総電力の50%以上とすることを目標に定めた政府の「エネルギー基本計画」を白紙に戻す意向を示した。

原子力の縮小分を、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで補う算段のようだが、実現の可能性は低いはずだ。省エネ社会も目指すというが、思いつきで進められると国の将来を誤ることになってしまう。エネルギーが国の生命力の源泉であることを菅首相は、どこまで理解しているのか。

世界の人口増、中国やインドをはじめとする新興諸国の台頭でエネルギー事情は、年を追って厳しくなっていく。安全に利用するかぎりにおいて原子力は中東の産油国でさえ重視する存在だ。

わが国の原子力政策は今、岐路に立っている。ムードに流され、脱原発に進めば、アジアでの日本の地盤沈下は決定的となる。

今月下旬の主要国首脳会議(G8)では長期的なエネルギー戦略などが焦点となり、世界の目が注がれる。原発事故の原因と経過の説明も求められよう。菅首相は、原発を進める米国やフランスなどに、日本の方針をきちんと説明すべきだ。津波被災国への同情ばかりとはかぎらない。

また、民主党政権が世界に公約した温室効果ガスの25%削減はどうするのか。年限は2020年だ。景気を低迷させ経済を失速させれば達成できるだろうが、それは日本の「不幸」である。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110513/plc11051303210005-n1.htm