IPv6の間違った知識(IPv6が必ず速いわけではない)
インターネット通信の最近のトレンドとして、よくIPv6通信について出てきます。内容も、「IPv6は早い」とか書かれていますけど、IPv6通信自体が速いわけではありません。IPv6で使っている通信経路が「高速」だから速いのです。
そもそもIPv6はなぜ登場したのか。IPv6に関するサイトを見ていると大体書かれていて、内容は理解は出来なくても文字としては認識していると思います。
「IPv4のアドレス枯渇が枯渇するので新しいプロトコルとしてIPv6が導入された」と大まかにどのサイトでもこんなふうに書いてあると思います。
まあ、IPv6の導入理由はこれが正解なのですが、その副産物で速度が早くなったというものです。ただし、この速くなるのはある条件が重なる場合のみです。
さて、その通信速度が早くなる条件というのが、「IPoE」という通信方式を使っているISP(インターネットサービスプロバイダー)と契約していること、自分の契約がIPoE方式を利用できる契約になっていること、この2点が必要となります。
IPv6がPPPoE方式での通信の場合は、速度の改善につながりません。
ではなぜIPv6IPoE方式において通信速度が改善するのか。それは一番初めに書いてありますが、PPPoE方式とIPoE方式で通信経路が違うと言うことです。
IPv4・IPv6のPPPoE速度設定については以下の通りです。これは総務省にて公開されているデータです。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000590813.pdf
IF帯域欄に書いて有るとおり、1Gbpsと2Gbpsのメニューがあります。つまりPPPoE1台のPOI通信速度は1Gbpsと2Gbpsしかないということになります。
では、IPoEはどのくらいの速度メニューがあるのか。それは以下の表をご覧いただければと思います。古い資料には鳴りますが、速度の単語がはっきりと書かれている物です。
総務省の資料(https://www.soumu.go.jp/main_content/000374049.pdf)より抜粋です。NTT東日本の部分だけですが、この資料が平成27年(2015年)ですので、現在はNTT西日本についても同じと邪推していますが、表の中にあるとおり「2.新たな接続メニューの新設」で100Gbpsと記載があります。つまり、PPPoEの最大2Gbpsの50倍のPOIが利用可能となっているというわけです。
これがPPPoEとIPoEの違いによる通信速度の差なのです。
ただ、この新型コロナウイルス感染防止の関係で、なんでもネットによるお仕事や勉強などが行われるようになり、通信トラフィックがどんどん伸びていったようで、一部のISPでは通信が輻輳(ふくそう)したとい情報がでました。
IMPRESS社PC Watchより「コロナ禍で高速なv6プラスも一部で大幅な速度低下」
さて、今後は10Gbpsサービスも登場してどんどん通信速度が向上していきますが、ISPのバックボーンは、利用者の要求に対し耐えきることができるのでしょうか。