上海万博跡地が“ゴーストタウン”化 利権争いで利活用進まず

中国で昨年開催され、史上最多の入場者7300万人を集めた上海万博の跡地328ヘクタールの利用が遅々として進んでいない。跡地の使用権を売却すれば2000億元(約2兆4千億円)が転がり込むと見込まれていたが、一部でようやく整地作業が始まったばかりだ。31日で閉幕から1年。恒久施設として残された中国館などを除いて、数十のパビリオンがいまも放置されたままだ。
上海市内を流れる黄浦江両岸の会場で開かれた上海万博の用地は、約1万8千世帯の住宅や工場を、安い保証金で強制的に退去させて確保した経緯がある。246カ国・国際機関が出展したパビリオンは当初、5つの恒久施設を残してすぐ解体し、今年6月に跡地計画をまとめて再開発をスタートさせる予定だった。
だが、計画公表が延び延びになる中で、解体費用の出費を惜しんだ出展者が中国側に続々とパビリオン寄贈を申し出て放置。再公開した中国館や駐車場跡に作られた移動遊園地など以外は“ゴーストタウン”と化している。
これまで万博跡地への進出が決まったのは、鉄鋼大手の宝鋼集団など中央直轄の国有企業13社と、上海市当局系の企業がからむ4つのホテル建設のみ。「民間や外資への土地使用権の売却には待ったがかかっている」(関係筋)という。
地下鉄や道路などインフラが整備され、黄浦江にも面する万博跡地は、「新たな一等地」として内外の開発業者も強い関心を示している。だが、万博の関係者は「開幕前から始まっていた北京(中央政府)と上海の当局者間の対立がいまも続いている」と話し、跡地の売却で得られる巨額の利益分配をめぐり、双方の当局者が綱引きを繰り返しているとの見方を明らかにした。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/111029/chn11102917580001-n1.htm