アニメの舞台巡る 聖地巡礼ブーム

本日の北国新聞朝刊より。

アニメの聖地へ。「けいおん!」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(「あの花」)「花咲くいろは」(「花いろ」)など人気アニメの舞台とされる地方都市を巡る若者が増えている。「聖地巡礼」「アニメツーリズム」と呼ばれ、インターネット上では「あのシーンのモデルはどこ?」とファン同士が情報交換、自治体もPRに乗り出した。
軽音楽部の活動に熱中する女子高生を描いた「けいおん!」。滋賀県豊郷町にある豊郷小旧校舎は、作品の舞台と言われ、年間5万人が訪れる。
昭和初期に建てられた旧校舎は、解体の是非をめぐる議論の末、保存が決まり、2009年5月に一般公開。そのころ、作品の放送が始まり、ファンの間で「聖地」とのうわさが広まった。
突然のブームを逃すまいと、同町商工会などは「軽音楽の町」づくりを提唱。旧校舎の講堂でアニメソングのライブを実施し、昨年11月には高校生バンドのコンテスト「とよさと軽音楽甲子園」を初開催した。「唱歌室」はバンド練習場としても解放する。昨年9月、主人公平沢唯のコスプレ姿で訪れた新潟県の20代「マミィナ☆」(仮名のコスネーム)さんは、テーマソングを飛び入りで熱唱。「楽しかった、また来たい」と目を輝かせた。
京阪電鉄大津線にも車体にキャラクターが描かれたラッピング電車を走らせ、カメラを抱えた若者が訪れている。
幼なじみの高校生5人と幽霊の少女との友情を描いた「あの花」は、埼玉県秩父市がモデル。久喜邦康市長(57)は昨年4月の放送開始から作品を見て、「風景や文化が美しく描かれ、素晴らしいPR手段になる」と直感。直ちに商店街にフラッグを張り、巡礼マップを作成した。
震災直後の「自粛」ムードで観光客は激減していたが、放送開始後、半年で約8万人の巡礼者が訪れた。経済効果は2億4千万円と試算する。
同市長は巡礼者の若さに注目。「10年後にまた行ってみようと思ってくれるよう、おもてなしの気持ちで受け入れたい」と話す。
商店街には作中に登場する蒸しパンやラーメンを再現して販売する店も目立つ。巡礼者の若さは、売上単価の低さにも表れるが、菓子店社長の熊崎節子さん(67)は「最初に作った蒸しパンは、ファンから『作品のパンと味が違う』と言われ、作りなおしたら売れるようになった」と話し、作品を生かした商品づくりの可能性に期待を込めた。
アニメ「らき☆すた」のモデルとなった埼玉県久喜市鷲宮神社、「花咲くいろは」の金沢市湯涌温泉など「聖地」は全国各地に散らばる。


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