日本経済新聞北陸版朝刊より「GW集客 目玉作り競う 北陸の観光地 ■ご当地アニメ放送 ■恐竜風レストラン」

円安で、外国人客に期待 兼六園など国際便増便も追い風
北陸の主要観光地がゴールデンウィーク(GW)に向けて今年も新たな集客策を相次ぎ打ち出している。施設の改装やアニメを使った誘客策をGWに合わせることで認知度を高め、年間を通じた観光客の定着を目指す。石川県の能登地域では有料道路の無料化を受けた行楽客の増加を取り込もうという動きも出てきた。今年は円安で日本旅行の費用が安くなる外国人観光客の増加も、GW期間中のにぎわいに貢献しそうだ。
福井県立恐竜博物館(勝山市)は27日、館内のレストランを新装オープンする。3月末の契約満了を受け、新事業者に近隣で人気スキー場「スキージャム勝山」を運営する東急リゾートサービス(東京・渋谷)を公募で選んだ。通常は買いそうに2ヶ月程度をかけるが、工事を急ぎ、GWに間に合わせる。内装やメニューに恐竜のイメージを盛り込み、特に家族連れに利用を呼び掛ける。
アニメでの街おこしを進める富山県南砺市では28日から地域限定作品の放送・配信を始める。同市が本社のピーエーワークスが観光資源にするご当地アニメとして制作した作品で、同市内だけでワンセグ放送受信端末や専用アプリをダウンロードしたスマートフォンで視聴できるようにする。
のとじま水族館(石川県七尾市)は近隣の駐車場と水族館を結ぶシャトルバスの本数を昨年より増やすことを決め、詳細を詰めている。石川県では3月31日に「のと里山海道」(旧能登有料道路)が無料化されたのに伴い、今年は能都方面の行楽客が増える見込み。同水族館も今年のGW期間中は、昨年実績の約5万4000人(2012年4月28日〜5月6日)を上回る入館者を見込む。
北陸屈指の観光地、兼六園金沢市)はGW期間中の入園者数が前年実績の8万7684人を上回ると予想する。期待するのは外国人観光客だ。桜の開花に合わせて無料開放した4月3日〜9日の入園者数は1日平均3万8271人で過去10年の平均より多かった。同園では「例年より欧米人客が多く見られた。円安の影響があるかもしれない」と分析する。
16日に全線開通した富山と長野を結ぶ山岳観光ルート「立山黒部アルペンルート」は例年、台湾からの観光客が多い。16日時点での4〜5月の予約は前年の同時期と比べて台湾からの観光客が3割増と出足好調だ。運営する立山黒部観光(富山市)の永崎泰雄常務は「円安効果が大きい」と分析、今年度は前年度を上回る90万人台の入り込みを目指す。
台湾からの集客は富山、石川両県で国際空港便の運行本数が増えていることも追い風になっている。小松空港では昨年12月から毎日運行に増便された。GW期間は小松や能登空港台北との間でチャーター便も飛ぶ予定。富山空港でも15日から台北便が週4便に増便された。
石川県では宿泊施設の予約も好調。金沢市の金沢国際ホテルは「予約を受けても一部のお客様は収容できず、断らざるを得ない状況」と説明する。同県七尾市の加賀屋は「円安傾向を受けて台湾からの旅行客や問い合わせが増える傾向にある」としている。
景況感の改善や円安で全国的にGWは国内旅行の増加が見込まれている。JTBが3月上旬に実施したGWの旅行動向アンケート調査によると、北陸を旅行先に選んだ人は前年より1.3ポイント増え、2.7%になった。北陸でも今年は天候の悪影響などがなければ、昨年を上回る観光地のにぎわいが期待できそうだ。