「あげ↑アニメ聖地 『花咲くいろは』金沢・湯涌」

聖地巡礼−。宗教上の儀礼を意味する言葉が、最近はアニメの舞台とされる土地を巡る旅を指しても使われる。好きな場面の「元ネタ」を熱心に探して訪れ、非日常のひとときを味わう。何を求めて、人は巡礼に出るのか。アニメ「花咲くいろは」の聖地としてファンが集まる金沢市奥座敷湯涌温泉を訪れて考えた

もてなし、景観 癒やしに

金沢市中心部から車で20分ほどの湯涌温泉。緑いっぱいの風景に、穏やかな時間の流れを感じる。
そんな山里に熱い視線を送るのが、アニメ「花咲くいろは」のファンだ。東京の女子高生が祖母の旅館再生に奮闘しながら成長する物語で、湯涌温泉が舞台とされる。アニメに出てくる神事を「湯涌ぼんぼり祭り」として2011年から実際に始めると5000人を集客。12年には7000人に増えた。
温泉街の入り口に立つ観光協会の一角には、キャラクターのパネル写真などが並ぶ。8月中旬、熱心に資料を見つめる姿があった。札幌市から訪れた北海道大の3年生は「自分の意志を曲げずに頑張る主人公を見ると元気が出る。アニメの雰囲気も好きで、その世界を体験できる感じがしてうれしい」と、声を弾ませた。
複数の「聖地」を巡る旅の途中という。幼なじみの少年少女6人の葛藤を描いた「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の埼玉県秩父市、高校生の青春ミステリー「氷菓」の岐阜県高山市を経て湯涌へ。
8月末に映画版が公開されるため、秩父市ではPRに熱気を感じたが「湯涌の場合はアニメと絡めた観光を押し出し過ぎていないのが良い。もともとの良さが重要」と男性Aさん(23)。
男性Bさん(22)も「旅館のおもてなしが想像以上だった。アニメと関係なくても来たいと思わせるベース(土台)がある」と話す。聖地ごとの歴史や個性を尊重しているようだ。
「アニメの効果で観光客は増えたが、風情、おもてなしなどの本来の良さを守ることが大原則」と湯涌温泉観光協会の二又勉事務局長は気を引き締める。
花咲くいろは」を題材に観光を研究している北陸大(金沢市)の学生がファンに行ったアンケートでも、湯涌の魅力は「素朴なたたずまい」(64%)、「由緒ある温泉地」(22%)と捉える意見が目立った。
アンケートは7月21日、「湯涌ぼんぼり祭り」の本祭(10月12日)に向けて湯涌稲荷(いなり)神社で行われた点灯式で実施。来場した86人から回答を得た。
回答者の8割は男性で、20、30代が72%を占めた。湯涌を訪れた理由は「アニメの雰囲気をより身近に感じたい」が73%で最多。「ファンと交流したい」「都会の人間関係から逃れたい」は、いずれも6%にとどまった。
学生を指導する北陸大の小林忠雄教授(都市民俗学)は「米国のディズニーランドが巡礼観光の最初」と説く。西部開拓、宇宙開発など米国人の精神に訴えて成功。対照的に日本のアニメは「自分だけの聖地」という。「派手な温泉街と違い、湯涌は静かに歩き、癒やされる素朴な景観がある。巡礼者個人の世界観を損なわずに引きつける力となっている」とみている。

観光社会学研究者に聞く
住民との交流も魅力
花咲くいろは」は地元の制作会社がつくり、地域を大切にしている成功例と、湯涌に注目する奈良県立大の岡本健講師(30)=観光社会学=に、聖地巡礼の背景を聞いた。
団体旅行が主流だった時代に比べ、個人主義が進んだ現代は「普段の趣味の延長線で観光に行く感じ」。その流れで、1990年代後半からアニメの聖地化も目立ち始めた。
美少女戦士セーラームーン」の舞台とされる東京・麻布十番などが先進地。一部のマニアが訪問した内容をインターネットで詳しく発信し、幅広いファン層に広まった。
地域振興にアニメを活用することに当初は抵抗感のあった自治体の動きも、2005年ごろから活発に。ブームはしばらく続くだろうが、一つの作品による観光効果を長く持続させるのは難しい。
女子高生の日常をゆるく、面白く描いた「らき☆すた」の舞台、埼玉県鷲宮町(現久喜市)はサブカル全体に手を広げることで「オタクを受け入れるまち」として人気が定着。都市生活者の場合、日常生活で見知らぬ他人と会話する機会は少なく、地域住民との関わりも巡礼の魅力かもしれない。
あげ↑アニメ聖地 「花咲くいろは」金沢・湯涌:Attention!:popress:北陸中日新聞から:中日新聞(CHUNICHI Web)


聖地巡礼と言っている人もいれば舞台探訪と言っている人もいることも紹介してほしいですね。あとやはり舞台探訪の先駆けは私の場合天地無用!ですかね。