本日の北國新聞朝刊より 「関東、九州からの客目立つ 北陸の温泉地 」「アニメ『聖地巡礼』が追い風 湯涌で倍増 城端むぎや祭入り込み増」

北陸の温泉地 旧盆後も好調
北陸の温泉地は、東日本大震災後の自粛ムードが払拭され、旧盆後も、国内客でにぎわ った。聞けば、宿泊客の顔ぶれに変化がみられ、もともと多い関西客より、関東客や九州 客の姿が目立ったという。家族連れでも従来より大人数の客が多い傾向があるらしい。手 ぬぐいを片手に温泉地を訪ねてみた。

「今年は旧盆を過ぎても忙しくて。バタバタしてすみません」。そう言って現れたのは 、加賀市山代温泉で「瑠璃光」「葉渡莉」を経営するよろづや観光(同市)の萬谷正幸社長だ。

例年は旧盆期間が過ぎれば忙しさも落ち着くが、今年は違うようだ。「大都市では企業 の節電対策で、休暇が分散されているでしょ。その影響じゃないかな」。

瑠璃光では7月、8月と宿泊客が前年を1割近く上回っており、なかでも関東からの客 が6割増えた。萬谷社長は「特に小さな子供を連れた家族連れが放射能の影響を恐れて、 旅先に北陸を選んだようです」と話す。

さらに、九州など今まで客が少なかった地域から訪れる人も増えたという。今年は親鸞 聖人の750回御遠忌で京都を訪れる人が増えており、「遠出のついでにと、真宗王国で 、蓮如さんの吉崎御坊など縁がある北陸にも足を伸ばす人が多い」(萬谷社長)とみられ る。

こうした傾向は加賀温泉郷だけではない。

加賀屋(七尾市)も8月の宿泊客は1割増で、家族連れを中心に関東の客が目立った。 震災で春の予約を9月の連休に振り替えた人もおり、9月の予約状況は前年を上回るペー ス。和倉温泉旅館協同組合にも9月の連休に向け、東京や埼玉、茨城など関東からの問い 合わせが多い。

一方、もともと関東客が多かった富山の宇奈月温泉は、中京圏の客が伸びているという 。地元の旅館協同組合担当者は「震災以降、比較的近場で放射能の影響が少なく、安全な 温泉として注目されているのではないか」と手応えを感じている様子だ。

大震災による浴客の変化は「地域」だけでない。

瑠璃光では今夏、家族連れ客の一組当たりの人数が増えた。従来は夫婦もしくは夫婦と 子供の2〜4人が多かったが、3世代、親戚を含めた10人近くの「一族旅行」が目立つ 。担当者は「震災後の絆を意識する風潮で、夏休みに一族で旅行をする人が増えたのかも しれない」とみている。

明るい兆しが出てきた温泉地だが、「まだ、震災以前まで回復した感じではない」とい うのが多くの見方だ。歴史的な円高も、海外に行く国内客の増加や海外客の減少などマイ ナスに働くだけに、こうした客層の変化に、いかに対応できるかが、今後の旅館経営のカ ギとなりそうだ。



アニメ「聖地巡礼」が追い風 湯涌で倍増 城端むぎや祭入り込み増

アニメファンが作品の舞台を訪れる「聖地巡礼」の動きも、石川、富山両県の温泉・観光地にとって追い風となっている。

アニメ「花咲くいろは」のモデルに成った金沢市湯涌温泉では、7、8月ともに宿泊者数が前年同月比26%増となった。特に、関東から訪れた客は、2ヶ月間で1615人と前年の倍近くに上った。旅館の外観や部屋、厨房などを参考に作品が描かれたため、お目当ての旅館の前で記念撮影をするファンの姿も見られるという。

中には、1泊3万円前後の高価格帯の部屋に泊まる若者もおり、湯涌温泉観光協会は「湯涌は従来、地元客の利用が多く、明らかにアニメの効果が出ている」としている。

南砺市では17、18日の「城端むぎや祭」を控え、地元関係者の期待が高まっている。

アニメ「true tears(トゥルー・ティアーズ、tt)」で同市城端の街並みが描かれ、作中の「麦端祭(むぎはまつり)」は「むぎや祭」がモデルとされている。

市観光課によると、6万人前後で推移していた祭りの入り込み客は放映後、08年に6万5千、09年に7万1千、10年に8万5千と増えた。今年は、「tt」の制作会社が「花咲くいろは」も展開していることから「石川とセットで訪れるファンを見込んでいる」(市観光課)という。


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