本日の日本経済新聞北陸版朝刊より「涼を走る 新幹線のその先へ4 JR城端・氷見線 開業100周年の挑戦 新旧アニメファン集う」

JR城端氷見線高岡駅を起点に富山県を南北に縦断している。城端線は1897年に富山県内では初めての鉄道として開業し、氷見線は今年で全線開通100年を迎える。2路線では「忍者ハットリくん」車両が走るほか、2008年にTV放送されたアニメで城端が舞台となるなど新旧アニメファンが集まる。
高岡市高岡商工会議所や観光関連団体と連携して9月に氷見線全線開通100周年記念事業を展開する。ロゴには立山連峰と忍者ハットリくんをあしらった。生みの親の漫画家。藤子不二雄Ⓐさんは氷見市出身。沿線では至る所でハットリくんが顔をのぞかせている。
ハットリくんのラッピング車両も04年から城端氷見線を走る。5年間の期間限定で導入されたが、ファンや地元の要望で今も3両が走っている。氷見駅からタクシーで数分の氷見市潮風ギャラリー(氷見市)で開かれる「藤子不二雄Ⓐまんが展」は今年で5年目。11年度は1万3000人が来場するなど貴重な観光資源の一つになっている。
「初めてと山に来ました。念願の城端」。そんなコメントが書き込まれたノートが高岡駅から約50分の城端線終点、城端駅の一角に置いてある。08年に関東や関西、中京を中心に放映されたアニメ「true tears」で城端が舞台となり、「聖地」を訪れるファンが後を絶たない。
「ファンの子が置いていった」というA4ノートはアニメ放映直後に置かれ、今は5冊目だ。そんなノートがあるのは開業以来115年変わらぬ駅舎の中。駅舎の「海抜123米4(123.4メートル)」という表示板は歴史を感じるだけでなく、語呂の良さに写真を撮る観光客も多いという。
沿線でアニメファン以外を引きつけるのが富山湾越しの立山連峰能登半島の絶景だ。「立山を完璧に撮れるのは年に数えるほどしかない」。新潟県から月に何度も富山県を訪れるという男性は自慢げに一眼レフに収めた写真を見せる。撮影場所は氷見線の雨晴(あまはらし)駅だ。
雨晴駅は海岸沿いに位置し、海岸からは立山連峰が視界いっぱいに広がる風景を望める。海岸にある観光名所「義経岩」は1187年に源義経源頼朝から逃げるために北陸路を通り奥州へ行く途中で、雨が晴れるのを待ったとされる。雨晴の地名の由来ともされている。
高岡駅から城端線は南に、氷見線は北に延びるが、直通運転はしていない。15年春に開業する北陸新幹線新高岡駅(仮称)は現在の高岡駅から1.5キロメートル南に設置され、城端線新駅が乗換駅となる。
高岡、氷見、砺波、南砺の4市はJRと連携して今年度から2路線の直通化への技術面など課題の洗い出しに着手した。新幹線開業で変わる人の流れを上手く観光資源に導けるか。沿線自治体はソフト・ハードの両面で磨きをかける。


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