1月4日北日本新聞朝刊より「名所の宝庫 祭り多彩」

砺市は世界遺産の合掌集落や井波別院瑞泉寺など名所の宝庫。福野夜高、城端曳山、五箇山の麦屋、こきりこといった祭りや伝統芸能も豊富だ。8町村が合併して一つの市になったことにより、多彩な魅力を一体的にアピールできるようになった。市が登場するアニメを活用した集客、市一周ウォーキングを通じた魅力発信など新たな動きが活発になってきた。

城端地域を舞台としたテレビアニメ「true tears(トゥルー・ティアーズ)」を呼び水に、南砺市へ多くのアニメファンが足を運ぶ。千葉県の自営業、Aさん(33)もその一人だ。2008年秋から頻繁に城端を訪れ、13年に南砺市各地を舞台とした市オリジナルアニメ「恋旅〜True Tours Nanto〜(トゥルー・ツアーズ・なんと)」が公開されてからは、五箇山合掌集落や瑞泉寺も訪ねるようになった。「それぞれの地域に特色がある。深堀りすればするほど味わいが出てくるのが南砺市」と目を輝かせる。

同市には、旧8町村ごとに魅力的なスポットがあり、訪れる度に新たな感動を味わえるのが強みだ。こうした特長を生かし、Aさんのようなリピーターを増やすのが市と市観光協会(川合声一会長)の共通の狙いだ。

13年に制定した市交流観光まちづくりプランでもそうした考えが打ち出され、伝統工芸や農作業、雪国の生活文化を体験できる場づくりが盛り込まれた。住民との交流を深めながら、文化や風土への理解を深めてもらう取り組みだ。田中市長は「住民と深いつながりを作った人が都会で南砺のPRに一役買う動きにつながれば」と願いを込める。

南砺の多彩な魅力発信を狙う新たなイベントも出てきた。市観光協会が市誕生10周年記念イベントとして企画する市一周ウォーキングだ。今年春から秋にかけ、10キロずつのウォーキングを15回にわたって実施。山間地や里山エリア、風情のある町並みを歩いてもらう。
企画に携わる健名史郎エリアマネジャーは「豊かな自然と格調高い文化の雰囲気を存分に楽しめるコースとしてアピールしたい」と意気込む。
交流人口拡大により、地域づくりを狙う新たな人材の発掘にもつなげる。田中市長は「ただの観光地ではなく、親近感の強い『関係地』として、多くの人に認められればいい」と望む。